銀牙 真・外伝2巻の感想
♪ふ~りむけ~ば~ や~すらぎ~が~
母親のよ~うに 呼び止めるけど~ぉ~
一度見た~ この夢は~
誰にも~やれない~ 渡~せな~い~
RUN&RUN RUN&RUN
ためらわ~ず~走れ~
もう別れの~涙も~乾き~かけてる~
新しい~日が昇る~ 道の向ぅこ~うで~
誰かが~手を振る~
“肩並べて~走ろう”と~
銀牙の歌詞は2番もカッコイイなぁ。
2巻の最初の主人公は“枯滝の十文(ともん)”。
彼は、赤カブト討伐隊の一員で、遠征したこの群れの唯一の生き残りです。
年老いた彼は、群れの用心棒として、若者の面倒を見てきました。
しかし「赤カブト討伐」も、今の若者たちには半ば風化しかけたこと。
十文の言動を軽んじる者が出て来るのも当然です。
そんな中、事件が起こりました。
地蔵畑の農家から鶏が盗まれた!!!
な、なんだってー!?
隣接するナワバリの群れが、その犯犬の痕跡を追いかけてきたら、十文達のナワバリまで続いていたというのです。
人間が絡んできたら、群れの存続に関わると、ケンカ腰の隣グループ。
しかしそこは十文。
なんとか説得して帰らせようとします。
そこへ血気盛んな若い犬達が…
って、まぁよくある話なんですが、十文のセリフがいいのです。
「こんな時はな 自分の立場にものを置き換えて考えてみろ!
とくに部下を引き連れて来ていたら尚更だ。
捨てゼリフの一言ぐらい吐かせてやれ!」
カッケー!
カッケーっすよ!十文さん!
その他、ヤンチャが過ぎて追放されそうな仲間に対し、
「若者は宝だ。
その時がくれば トシの様な男は頼りになる」
と、フォローしたり、人間、もとい、犬が出来すぎている十文に心震えます。
十文さん、猟犬にまで知れ渡っているのも素晴らしい。
「あいつがいる限り 野犬の規律は保たれる」
ですよ!
すっげ~、信頼感ですよね!
さて、鶏を盗った野良犬を退治しようと、人間がテリトリーを犯し始めました。
隣のグループに犠牲者が出始めます。
十文さん、自分達のナワバリを解放し、隣グループの受け入れを開始。
犬って自分のナワバリは大事ですよね。
それを一時的とはいえ、無効にするって考えが男前です。
まぁ、自分達の中の誰かが、この一件を引き起こしたという引け目もあるんだろうけど、なかなかスッパリ判断できないものですよね。
さらに、仲間内に犯犬がいると分かった時のセリフが痺れます。
「我々は運命を共有している仲間だ…
多少の意見の相違があろうと
互いに認め合い許し合って生きているのだ
正直に自分の行いを恥じているなら許す事ができる
だが
恥じていないのなら その理由を話せ…
仲間がそれを正してくれる」
ダメな子も見放さない!
今時こんな人、もとい、犬がいるかしら!
涙出ちゃう。
そんな十文さん、隣グループの犬を庇う為に、自分が囮になり、凶弾に倒れます。
しかし猟犬仲間のおかげで、命だけは助かりました。
「弾は皮膚から数ミリ入った所で止まっている。
いずれは筋肉が弾を外へ押し出してくれる。」
だって!
すっげーのな!猟犬って!
医療の知識まであるのな!
しばらく過ぎ、猟犬スチールの言った通り、十文は回復。
あれだけ反抗していた若いトシも、今では子犬達のしつけを担当する様になりハッピーエンド。
と、ストーリーはありきたりですが、そこは高橋センセー。
いつもの高橋節で、飽きることなく一気に読ませてくれます。
何より、フラグ立ちまくってた十文が死ななかったのが良かった。
たまにはこういう話もいいですよね。
あと、最後の1カットに、この話に一切出ていなかった銀たちが、まるで岩に彫ってあるアメリカの大統領みたく描かれていたのに吹きました。
ええ、ペプシのモンブラン味を吹きました。
さ て と。
なぁ、みんな!
紅桜のことは知っているよな!
大好きだよな、紅桜!
と、言うわけで後半は紅桜の人生を辿ります。
彼の死に様は男らしくて好きだけど、何回読んでも涙が出ます。
慣れんわぁ。
彼は青森の闘犬が盛んな地域に生まれます。
小粒で兄に乳を奪われていた紅桜は、誰にも負けないくらいの闘争心を身に着けました。
「ずるいよ兄さん自分だけ
もうボクだって怒ったぞ!!」
ぶちカワイイ!!!!!
いつから「オレ」に変わったのかしらんけど、子犬の紅桜、ぶちカワイイ!!!!
で、この時に自分の倍ほどもある兄さんをコテンパンにするのはいい昔話☆
紅桜は、その闘争心とバトルセンスで、わずか生後半年で成犬を再起不能にするほどに成長。
ついには、相手をしてくれる犬がいなくなってしまうのでした。
そこへ戦いを挑んできたのが、全国横綱・綱嵐。
紅桜は磐石の備えで、って。
ええええええええ?!
何この鍛え方!?
マジでか!?マジであるのか!?
人間もビックリドンキーな鍛え方ですが、結果は綱嵐の勝ち。
紅桜は再戦を待ちますが、綱嵐は年老いて他の若犬の噛ませ犬になっていたのでした。
怒った紅桜は、その若犬達を噛み殺し、逃亡。
でも紅桜の気持ちも分かります。
だって、全国横綱にまでなった犬を、もう使い物にならないからって、噛ませ犬にするんですよ。
人間って残酷ですよね。
幸い、このシステムは現在無くなっているそうなので安心ですが…
人間って、もっと他の動物に敬意を払えばいいのに。
さて、そんな紅桜もついに最期の時を迎えます。
最期まで「闘犬」として戦いぬいた紅桜。
その「誇り高き生」と「満足する死」については、考えても考え尽きるものではありませんね。
儂もこんな風に逝けるのだろうか。
いや、逝けないだろうから、羨ましくもあり、何度読んでも胸が詰まるのでしょうね。
最期に紅桜が水面に咲かせた命の桜。
「満足のいく血桜が描けた」と、高橋センセーも書いている通り、必見ですよ!
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