ハラを割って話さねばならぬ。
横殴りの雨の中、Y商店の裏手のドアを開けると、野良にゃんこがエサを漁っていた。
ハッ!お前は、ウチの周りに出没して、愛犬アリーナさんのドッグフードをくすねて行くヤツじゃないか?
「にゃ~。」
んだんだ、そうだっぺ。野良にゃんこは、そんな感じで鳴くとダッシュで逃げて行った。
全く、最近の野良にゃんこときたら、礼儀を知らないよ。
儂の住んでいる所は漁村。当然、猫が多い。ウチにもよくエサをくすねに来たものだ。
去年、お亡くなりになられた野良にゃんこは、行儀が良かった。
あまりの行儀の良さに、周りのおば様たちからは、「ぼっちゃん」と呼ばれ可愛がられていた。
白と黒のブチで、頭がやたらデカイ目の細いブッサイクな猫だったけど。
儂は心の中で「ネコビッチ」と呼んでいた。
なぜか、儂に一番良く懐いて、朝食時、仕事先から帰って昼食を取っている時、夕食時、いつも庭先で「ニャ~ニャ~」と儂を呼んでいた。
ええ、たかられてましたよ。
そんなネコビッチも年と風邪には勝てず、最期が近付いた頃は飯も食べられず、ガリガリになり、目ヤニや鼻水がすごかった。
猫は自分の死体を見せない様に、どっかに行くので、生死が分からなくて心配するのもイヤだったので、儂はネコビッチに言った。
「死ぬ時は、儂に挨拶しにくるんやで。」
ネコビッチはかすかに頭を上げ、目ヤニで見えなくなった目をこっちに向けた、様な気がした。
その翌日から、ネコビッチの姿が消えた。定刻には決まって現れていたのに。
これはもうダメだなと思った、3日後のこと。
儂がY商店で働いていると、近所のおば様が、「にゅげちゃん、ぼっちゃんが帰ってきてるよ。」と教えてくれた。
儂の仕事が終わる直前だった。
ネコビッチは行方不明になってから、さらにガリガリになり、もう歩く力もなさそうだった。
でも、儂を見ると起き上がり「にゃ~」と鳴いた。
それが最期だった。
儂の言葉が通じたのか、ただの気まぐれからかは分からない。でも最期を看取れて良かったと思う。
儂としては、ネコビッチが儂の言葉を理解したと信じている。
だから、最近ウチに出没するあの野良ニャンコも、きっと話せば分かると思うの。
ハラを割ってよ~く話せば。
だからね、ウチの庭やプランターにウンコするのやめて下さい。
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